スポーツ推進委員制度と高松市のスポーツ推進委員
(令和3年度スポ推連報より転載)

1.体育指導委員制度の誕生

 昭和21年、国は、学校外の社会生活において、国民がスポーツや運動を楽しみ、健康で明るい生活を営むというのが戦後の国民的課題であったことを踏まえ、「社会体育の実施の参考」を示す中で、体育指導委員の前身ともいえる「市町村体育委員」の充実を図ることを強調している。そしてさらに、昭和32年、文部事務次官通達「地方スポーツの振興について」によって、制度としての体育指導委員を設置することとなった。しかし、この制度は法律に依拠するところのものではなく、身分の点などが不明確であった。

 以上の経過と経験をもとに、体育指導委員制度の法的な裏付けが、昭和36年「スポーツ振興法」の制定によってなされ、今日までに及ぶ体育指導委員制度が確立した。

 平成23824日「スポーツ基本法」が施行され「体育指導委員」は「スポーツ推進委員」とその名称が変わった。

(スポーツ推進委員)
第32条  市町村の教育委員会(特定地方公共団体にあっては、その長)は、当該市町村におけるスポーツの推進に係わる体制の整備を図るため、社会的信望があり、スポーツに関する深い関心と理解を有し、及び事項に規定する職務を行うのに必要な熱意と能力を有する者の中から、スポーツ推進委員を委嘱するものとする。
2 スポーツ推進委員は、当該市町村におけるスポーツの推進のため、教育委員会規則、(特定地方公共団体にあっては、地方公共団体の規則)の定めるところにより、スポーツ推進のための事業の実施に係わる連絡調整並びに住民に対するスポーツの実技の指導その他スポーツに関する指導及び助言を行うものとする。
3 スポーツ推進委員は、非常勤とする。

この条文にあるように、スポーツ推進委員は高松市の非常勤公務員として、社会体育に関するさまざまな行政サービスを行うことが明確にされた。

 

2.高松市のスポーツ推進委員

()設置当初

「スポーツ振興法」の規定を受け、高松市教育委員会は、昭和37年「高松市体育指導委員規則」を定め、本市にも法的制度としての体育指導委員が設置された。しかし、その当初は、各校区から1名の推薦による任命、また、この中には教職者が多数を占めるなど、当時の社会体育の実情を垣間見ることができる。

この時期においては、高松市教育委員会は体育指導委員の資質の向上を図るため、年数回の研修を重ねるなど、これからの体育指導委員の役割と任務についての啓蒙に努めた時代であった。

 

()現在のスポーツ推進委員

高松市のスポーツ推進委員は、学識経験を有する委員と各小学校区(地区)から選出される委員からなっており、その内訳は次表のとおりである。

             定 数 と 現 員 数               (人)

区  分

定  数

現員数

学識経験者

  6

 6

 6

 0

校区選出者

108

80

40

40

合    計

121名以内

86

46

40

学識経験を有する委員は、体育理論・実技、医学、法律など、個々の有している専門知識技能をいかし、全市的立場からの指導・助言を任務としている。

一方、小学校区(地区)から選出される委員の委嘱は、従来、教育委員会が委嘱していたが、機構変更により、平成20年度高松市長名による委嘱となり、次の手順に変更された。

高松市市民政策部国際文化・スポーツ局スポーツ振興課は各地区体育協会に対し当該小学校区から選出する委員の推薦を依頼する。会長名をもってスポーツ振興課へ推せん報告する。この報告を受けて、高松市長が委嘱することとなる。

 

スポーツ推進委員として望ましい具体的条件

() 地区住民から信望があり、客観的な判断ができる人

() 心身ともに健康で、スポーツ・レクリエーション活動に深い理解と情熱を持ち、企画・運営にあたり、指導力のある人

() 地区体育協会の中でリーダー的位置をしめ、高松市および地区住民の意向が反映できる人

() 毎月1回の定例会、年2・3回の研修会、年数回の全市的行事に出席できる人

 

以上の手順により各小学校区(地区)から推薦、委嘱されている現職委員の年齢、勤続年数の構成は次のとおりとなっている。

 

スポーツ推進委員構成内容(校区選出委員定員108名)   令和3年度調べ

年  齢  構  成

勤  続  年  数

全体

 

全体

30歳代

3

0

3

 

〜2年

8

11

19

40歳代

6

9

15

 〜4年

6

2

8

50歳代

16

18

34

 〜6年

7

5

12

60歳代

12

10

22

 〜8年

4

3

7

70歳代

3

3

6

 〜10年

1

4

5

合 計

40

40

80

 〜12年

1

1

2

平均年齢

55.9

56.7

56.3

 〜14年

4

3

7

 

 

 〜16年

0

3

3

 〜18年

1

4

5

 

 〜20年

2

0

2

 

20年〜

6

4

10

 

 

 

 

 

合計

40

40

80

 

 

 

 

 

平均年数(年)

10.38

10.03

10.2

 

次に、その任務の面をみると、校区選出委員は校区におけるスポーツ、体力つくりの中心的・指導的存在となることはもとより、地元と行政をつなぐパイプ役も果たし、さらに、各種大会・教室・講習会に、市民のだれもが参加できるよう、全市的立場で企画運営することもその主な内容となっている。

このため、月例会、研修会等とあわせると、年間の全市的用務での出動回数は月平均2回を超えるものとなっている。

また、26年度全国スポ推連合の委託事業として、県下5市・町にて開催した「ファミリー健康体力向上事業体力測定会」を契機に、27年度より高松市スポ推連の単独事業として継続することになり、各ブロックにて体力測定会を実施しており、認知度も上がってきていると思われる。

 近年は、パラスポーツ(障がい者スポーツ)体験会を開催し、普及にも取り組んでいる。

 

主な任務

 

全市的要務年間出動回数

@   地区体協協会と市及びスポーツ協会(コミュニティスポー専門部)との連絡調整

 

(令和2・3年度)

※中止等が多かったため、出動予定回数です。

A   学校開放運営委員会と市との連絡調整

 

定例会(R1,8月中止)

24回

B 校区内の指導者養成

 

研修会

14回

C 校区内のグループ養成

 

主管事業(3スポーツ大会

6回

D 行事の企画、立案、運営

 

主管行事(トリム、庵治マラソン)

4回

E 広報、啓蒙及び各種調査

 

小計

48回

 

 

ファミリー体力測定会・パラスポーツ

4回

 

 

合計

52回

 

 

()今後の課題

 令和2年当初に発生した、新型コロナウイルス感染症による感染予防対策により、様々な事業が中止に追い込まれ、スポーツ推進委員の活動もかなり縮小されました。

 いまだ終息の気配がみえないコロナ禍のなか、感染予防対策をとりながら、どのように活動できるのか検討が必要だと思われます。

 また、今期から取り組んでいるパラスポーツの普及・研修もより推進が必要かと思います。

 いつでも、だれでもが楽しみ参加できる生涯スポーツの普及に向けて、より人員が必要となってきます。現在スポーツ推進委員が空白になっている地区を無くし、定数を満たすようにするとともに各事業への出席率もあげていきたいものです。

 スポーツ推進委員各自の協力をお願いします。

楽しく、そして“オンリーワンのスポーツ推進委員を目指して、研鑽に励んでいきましょう!